AIの首都シアトルとスタートアップエコシステム
- Seattle Networking Group
- 2018年11月13日
- 読了時間: 6分

2018年11月3日
Innovation Finders Capital 江藤さん、佐藤さん
Webrain Think Tank LLC 岩崎さん
本日の学び:時代の流れや状況を知り、積極的に情報やイベントを活用することが、変化の激しい時代で成功するために重要!
今回は、ワシントン州の企業と日本の大手企業の間でのビジネスの開発・支援をされているInnovation Finders Capitalの江藤哲郎さんとトム佐藤さん、日本企業の海外進出支援を行っているWebrain Think Tank LLCの岩崎正史さんをお招きし、なぜシアトルでAI Meetupを行うのか、AIとは何か、どのように学び活用すればよいのか、AI時代における日本人に必要なものとは等についてお話しして頂きました。
今回のポイント
シアトルはグローバルスタンダードを輩出する都市であり、企業・大学・他国が協力・競争することで成長し続けている。
GeekWire、Eventbrite、Meetupなどを積極的に活用することで、誰でもネットワークを拡げて学べる時代になっている。
時代の動きを知り、実際に試し、自分と相手を徹底的に知ることが、変化の激しい現代において重要。
日本の現状とSNGの目的
まずはじめにSeattle Networking Group(SNG)の運営側からオープニングとして、過去数十年間のGDPトップ10カ国を比較した動画を紹介しました。参加者の皆様からは「アメリカの国力が安定している」「日本のGDPは数十年間頭打ち」といったご意見が出され、日本が置かれた危機的状況を共有しました。特にネットワーキング力が他国と比較すると日本は非常に弱く( Meetupなどのネットワーキングイベントで日本人で固まってしまう等)、「これからはそのような垣根を取り除いてこの状況を打破しなければならず、そのためにSNGをより良いネットワーキンググループにしていきたい」とSNG代表の柴山から挨拶がありました。
シアトルの現状とInnovation Finders Capitalの活動
続いて、江藤さんからは世界におけるシアトルの立ち位置についてご説明して頂きました。「今シアトルに住んでいる皆様はすごく良い時代にシアトルに来ている」と仰る江藤さんは、佐藤さんと共にInnovation Finders Capitalをカークランド(シアトル近辺の街)で設立されました。シアトルは現在、グローバルスタンダードを輩出する都市だと言えます。マイクロソフト、アマゾン、ノードストローム、コストコ、スターバックス、エクスペディア、ウェアーハウザー、パッカー、エクスペディターズ、アラスカ航空などがシアトル発祥で、シアトル広域都市圏だけでGDPが3000億ドル以上もあります(人口約380万人)。
特にアマゾンは全世界で55万人以上、シアトルだけで4万人も就業者がおり、グーグルやフェイスブックをはじめとしたテック系企業も、AIを中心にした研究開発センターを続々とシアトルに建てています。また、中国勢やドイツ勢もシアトル近郊に研究開発センターを建設しており、世界中から注目されている都市の一つであることがわかります。
それらの企業にとって、人材の大きな供給源の一つがシアトルにあるワシントン大学(University of Washington、UW)です。UWは非常に先見性があり、まだAIが現在ほど注目されていなかった10年前から、ビッグデータに関する研究所が活動しています。マイクロソフトも5000~8000人規模のAI研究所を所有しており、ライバルであるアマゾンと「Gluon」という形で手を組むなど、AI関連のビジネスの動きが非常に活発化しています。
さらに日本にとっては脅威とも言えるのがGIX(Global Innovation Exchange)です。これは中国の習近平国家主席が主導してベルビュー(シアトル近辺の街)に設立した、UWと清華大学のコラボレーションによるイノベーション専門大学院です。マイクロソフトが4000万ドルを投資していること、そして2年間のうち半年間は清華大学に行って研究開発をするという特殊なプログラムを有していることからも、中国全体がシアトルの状況を理解・利用していることがわかります。
そんなシアトルの状況を活用するために、Innovation Finders Capital(IFC)は日本の企業をシアトルに連れてきて、シアトルの最先端のスタートアップとのお見合い会(meetup)を主宰されています。シリコンバレーと比較するとシアトルはまだ日本に気持ちが向いているので(B to Bのビジネスが盛んで、「グローバルで成功するためには日本で成功する必要がある」という意識がある)、そのチャンスを活かすために活動をされているそうです。
AIの首都・シアトルの活用方法
佐藤さんからは、上述したシアトルの状況の活用方法についてご説明がありました。シアトルのAI系のスタートアップに日本人がインターンとして働いているケースも増えているそうで、留学生にも門戸が開かれていると言えそうです。
情報収集の方法としてまず紹介して頂いたのは、GeekWire、Eventbrite、Meetupです。AI関連の最新の記事のほか、「シアトル」「テック」「ビジネス」などで検索すると多くのイベントやグループが出てくるので、皆様もぜひ試してみて下さい。夜間の無料イベントも多く、行動を起こした人が得をする時代・都市になっているとも言えそうです(イベントの内容について全くの初心者でも、大抵の場合はじめの15分くらいでビギナー向けの説明があるそうです)。
印象的だったのは、「WindowsやExcelが初めて発表された時代のような事が、AIで起こっている(誰でもできる時代が来る)」という佐藤さんのお言葉でした。例えばDimensionalMechanicsという企業では、 AIのプラットフォームを提供して、誰でもAIを作れるように取り組んでいるそうです。また、マイクロソフトのAzure Machine Learning Studioのサイトにも様々なチュートリアルがあるので、誰でも簡単にAIについて学習し身に付けることができるようになってきています。
その後、具体的なAI活用のアイデアについて意見交換がなされた際に、参加者からは「AIに処理をさせるにあたり、データにはある程度の量と質が必要であり、それをどのように集めるのかが重要である」といった意見などが出されました。
時代を読む上で必要なこと
岩崎さんからは、このような変化の激しい時代において如何に時代を読む力をつけ、戦う武器を持ち、自分のルーツを知り、相手を知ることが重要か、というお話を頂きました。インテリジェンスとは「諜報」のことを言い、時代の動きを知り、実際に試し、自分と相手を徹底的に知ることが大切だと、岩崎さんは説かれています。「Think outside of the box」というお言葉からも、自分の世界に閉じこもるのではなく、新しいことを学び続けることの重要性を感じることができます。
また岩崎さんからは、いくつか興味深い動画や記事をご紹介して頂きました。Amazon Echo Look、Walmart Tower Pickup、Google Duplex、Okado、米国におけるSmart Speakerの利用者について、Nanotechnology, Biotechnology, Information technology and Cognitive science (NBIC) についての動画や記事を見ると、AIを含むテクノロジーが既に使われていることがわかり、また時代を読むヒントが感じられると思います。「折角シアトルにいるのだから、Home Depotなどのアプリをどんどん使ってみて、実際に感じることが大切だ」と話されていたのが印象的でした。
社会の変化が読みきれない現代では6ヶ月先のロードマップがない企業も多く、スピードと顧客体験を中心に捉えないと勝てない時代になってきているそうです。「機械化」「電子化」「自動車」「IT」「Neurotechnology」などの50年毎の時代のサイクルや、53.5年毎の「戦争と経済」のサイクルも時代の流れを考える上での材料にされることもあり、それらを考慮した上で次の時代を読むことも重要になるそうです。「Labor」ではなく「Creator」になること、「ただ消費を楽しむ」だけではなく「何を消費するか」を考えながら楽しむことが、ただ時代に流されるだけの生活にならず、より能動的に生きるために必要になると考えさせられました。チャールズ・デュヒッグさんの著書「習慣の力 The Power of Habit」 やマルコム・グラッドウェルさんの著書「天才! 成功する人々の法則」も参考になるそうなので、ぜひ読んでみて下さい。
亚博体育 亚博体育 亚博体育 亚博体育 开云体育 开云体育 开云体育 开云体育 乐鱼体育 爱游戏体育 华体会体育 华体会体育