Innovation Finders Capitalがシアトルで起こす日本企業とのイノベーション
- Seattle Networking Group
- 2018年11月4日
- 読了時間: 4分

2018年3月10日 Innovation Finders Capital 江藤さん、佐藤さん
本日の学び:各地域の特色・エコシステムを理解した上で資本を運用することが、Innovation to Revenueの実現に繋がる!
今回は、ワシントン州の企業と日本の大手企業の間でのビジネスの開発・支援をしているInnovation Finders Capitalの江藤哲郎さんとトム佐藤さんをお招きし、日系企業の課題とハイテク産業を中心としたシアトル活用法について議論しました。
今回のポイント
AWSやMicrosoftを含めたIT関連企業や、UWの膨大な開発費と人材により、シアトルはグローバルスタンダードを輩出している都市だと言える。
シリコンバレーとシアトルの違い:スタートアップ、大学、大手企業、州政府というエコシステムの中で、日本企業への期待がまだ感じられるのが、シアトル。シリコンバレーは、そもそも日本企業を必要としていない(決断が遅く、結果ではなくプロセスへの注文が多いため、日本企業の評判が悪い)。
Innovation Finders Capitalは日本企業に対して、シアトル関連のビジネスチャンスを紹介・仲介している。
技術提携、事業提携の話(課題や収益に関する話)を先にし、出資の話は後にしないと、大企業とスタートアップの間の理解に差が生じ、うまく連携できないことが多い。
シアトルでInnovation Finders Capitalを設立した理由
まずはじめに伺ったのは、Innovation Finders Capitalを設立された経緯についてです。カークランド(シアトル近辺の街)で設立されたInnovation Finders Capitalは、AI専門のベンチャーキャピタルです。シアトルはB to Bのビジネスが盛んで、日本企業との相性がいいことが設立された理由のひとつだそうです。日本経済、日本企業にイノベーションを起こすという目標に向かって、シアトルで企業間のお見合い会としてミートアップを開催しています。
一般的には、日本ではシアトルについてあまり多くのことを知られていません。マイクロソフトやアマゾンは、シリコンバレーにあると勘違いされていることも多いそうです。マイクロソフト、アマゾンのみならず、スターバックス、コストコ、エクスペディア、などは全部シアトル発の企業です。また、任天堂アメリカもシアトルにあり、このことからもシアトルはグローバルスタンダードを輩出している都市だと言えそうです。
近年では、人と企業がシリコンバレーからシアトルに流れる傾向が見られます。環境・治安・食べ物・教育レベル・生活費など総合的に考えて、シアトルが若手のエンジニアに人気な都市であると考えられているそうです。また、フェイスブックやグーグルなどがシアトルにビルを建て、R&D部門を立ち上げつつあります。さらに中国勢もどんどん参入してきており、中国の習近平国家主席が主導してベルビュー(シアトル近辺の街)にイノベーション専門大学院(The Global Innovation Exchange、GIX)を設立したことからも、その本気度が窺えます。
シアトルにおける産官学のエコシステムの中で重要な役割を担っているワシントン大学(University of Washington、UW)では、大学全体の予算である約70億ドルのうち、約20億ドルが研究開発に使われています。「人類が直面する難題を解決するために、UWがある」というビジョンの下、大学としての営業努力により資金を集めているそうです。
また、シリコンバレーとシアトルの違いとしていくつか特徴を挙げて頂きました。スタートアップ、大学、大手企業、州政府というエコシステムの中で、日本企業への期待がまだ感じられるのが、シアトルだそうです。一方でシリコンバレーは、そもそも日本企業を必要としていないという現状があるそうです。特に決断の遅さや、結果ではなくプロセスへの注文が多いことなどが、日本企業の評判が悪い理由だそうです。
日本企業がAIを使ってビジネスを行う際に直面する課題
参加者の皆様とのディスカッションでは、日本企業がAIを使ってビジネスを行う際に注意すべき点を共有しました。「いい人材が外資に引き抜かれていく(給料、働く環境による)」「クラウドへのデータの移行がそもそも遅れている」「データ分析ができる人材がそもそも社内にいない」といった現状や、「失敗してはいけないという文化が邪魔をしているため、プロセスや意思決定が遅くなる」といった日本特有の課題が話し合われました。
印象的だったのは、他組織との提携における注意点です。特に日本の企業が海外のスタートアップ企業との提携を進める際に、「いくら出資すべきか」のような内容をすぐ話すのではなく、技術提携・事業提携の話(課題や利益に関する話)をまずはじめに共有しないと、企業間の理解に差が生じ、うまくいかないことが多いそうです。このことからも、各地域の特色・文化・エコシステムを理解した上で資本を運用することが、本当の意味での「Innovation to Revenue」に繋がると言えそうです。
最後に、江藤さんが連載されている記事および別日にご講演された内容も合わせてご参照ください。
記事:
別日のご講演内容:
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