アマゾンカルチャーが変える私たちの世界
- Seattle Networking Group
- 2018年10月28日
- 読了時間: 5分

2018年1月28日 Soracom CEO 川本雄人さん
本日の学び1:Comfort zoneから抜け出し、「気づく力」と「つかむ力」をコツコツ磨くことで、後悔のないキャリアを築こう!
本日の学び2:ミッションを意識し、小さなチームからすぐに始めよう!
今回のゲストは、2017年までAmazon本社 AWS Directorを勤められ、現在はSoracom Americas CEOの川本雄人さんをお招きして、ご自身のキャリア、IT業界の現状と将来性、マネジメント方法、イノベーションの秘訣について、お話を伺いました。
略歴:
Soracom Americas: CEO
Amazon 本社: Director of Business Development (Amazon Web Services (AWS) Database, Analytics, and AI)
Amazon Japan: AWSの立ち上げ
Konomi, Inc.: Director - ICT Mergers & Acquisitions
University of California, Berkeley, Haas School of Business: MBA取得 (2006)
IBM: Business Development Manager
今回のポイント
チャンスが来た時に、「気づく力」と「つかむ力」を持っていることが重要。
Comfort zoneを抜け出したければ、住むところ、付き合う人、仕事を変えよう。
IT業界は集中と分散を繰り返しており、IoTにおける勝者はまだわからない。
アマゾンは2 Pizza Teamから始め、Micro Services Architectureによる開発を行うことで、結果的に環境に適合した(お客様に適合した)モノが生き残る文化をもつ、スタートアップの集合体である。
後悔のないキャリアとは
まずはじめに伺ったのは、キャリアを築く上で川本さんが大切にしていらっしゃるポイントです。日本IBM(SE、コンサル、事業開発)、留学(UC Berkeley)、金融サービス(M&Aディレクター)、AWS日本(事業開発本部長、日本立ち上げ)、AWS本社(事業開発ディレクター)、ソラコムAmericas(CEO)と、幅広いキャリアを築かれている川本さんにとって、成功したキャリアとは「リタイアした時に、振り返って後悔のないキャリア」だそうです。
それでは、「後悔のないキャリア」とはどんなものなのでしょうか。ワクワクした経験、いろんなことにチャレンジした経験、グローバルに活躍した経験、お金を稼いだ経験など、人によって様々だと思います。さらに多くの場合、キャリアは思い通りに構築することができません。その中で川本さんが重視していることは、チャンスが来た時のために「気づく力」と「つかむ力」を培うことだそうです。
「気づく力」を養うためには、時には住む場所・付き合う人・仕事を変えることにより、居心地の良い状態(comfort zone)から離れ、視野を広げる必要があります。また「つかむ力」を養うためには、筋トレのようにコツコツとレベルアップをし、転職・職種変更を恐れないことが大切だと川本さんは仰っていました。ご家族のサポートあっての挑戦とキャリアであると語る川本さんのキャリアに対する考え方は、きっと多くの方にも適用可能な判断基準になるのではないでしょうか。
IT業界の変遷とAWSの発祥
まず印象的だったのは、世界の時価総額のトップ10に10年前から残っているのは、マイクロソフトだけだという事実です(2008年のトップ10はExxon Mobil、Petrochina、Walmart、China Mobile、P&G、Microsoft、GE、AT&T、Johnson & Johnson、Chevron)。そして、現在の世界の時価総額トップ10のうち、7つがIT系企業だそうです(2017年のトップ10はApple、Alphabet (Google)、Microsoft、Amazon、Facebook、Tencent Holding、Berkshire Hathaway、Alibaba、Johnson & Johnson、JP Morgan)。
このように変遷が激しいIT業界は、集中と分散を繰り返しているそうです(ホストコンピューティング→クライアントサーバー→クラウド→IoT)。そのようなIT業界の中で、現在主役の中の一つと言っていいアマゾンでも、かつては各チームが自家発電のようにサーバーの調達・構築・運用・保守を個別に実施していたそうです。そこで生まれたのが社内クラウドであり、さらに圧倒的なインターネットスケールで構築し出来上がった仕組みが、AWSだということでした。
このことからも、業界の変遷とともに変化・適応し続けていることが、現在AWSが活躍している理由だと言えそうです。そしてこれは、上述の「気づく力」と「つかむ力」を個人が培い続けることと、非常に似た構造だと言えるかもしれません。
Internet of Things (IoT)とSoracom
そんなIT業界の変遷の中、注目されているのがIoT。川本さんがCEOを務められているSoracomでは、開発者向けのIoTプラットフォームを提供されているそうです。サービス開始後24ヶ月で9,000以上のお客様と協働されており、小売・店舗、製造、運輸・物流、住宅・エネルギー、建設・不動産、インフラ・公共施設、学校・官公庁、農業・漁業・畜産、決済・金融、エンターテインメント、サービスといった幅広い業界で実際にSoracomのプラットフォームが導入されているそうです。
ウェアラブル型ロガーで工場の作業動態を分析・可視化するサービスや、Internet of Animalsの実現による酪農・畜産農家のIT活用のサポートなど、多岐に渡る導入事例は、まさに時代の変化に対する「気づく力」と「つかむ力」を重視されている川本さんだからこそ実現されたものだと言えるのではないでしょうか。
アマゾンカルチャーから考えるIT業界
「Earth’s most customer-centric company」がミッションだというアマゾン。あらゆるプロダクトを提供するという意味のロゴ(A→Z)からも、そのミッションに対する強い意志が伝わってきます。川本さんからは、いくつかアマゾンの文化の中でも特徴的なものを紹介して頂きました。
印象的だったのは「Amazon’s 2 Pizza Team」という考え方です。これは、2枚のピザで足りる大きさのチーム(12名以下)でプロトタイプを作るところから始めよう、という考え方です。現代は様々なビジネスでスピードが重視されるため、IT業界でなくても参考になりそうな文化だと思います。
また、「Micro Services Architecture」は、ゆるく結合された(loosely coupled)サービスの集合体のことを言うそうです。この文化の中では、独立化された各サービスが基盤を共有し相互にコミュニケーションをとることにより、サービス間が相互依存せずに開発のスピードを早めることができるそうです。つまり、アマゾンは無数のスタートアップの集合体であるとも言えそうです。
このような「小さなチームから始める」「すぐに始める」といったような文化は、私たちの生活やビジネスに非常に参考になりそうな文化だと思いました。勉強会を運営させて頂いているSeattle Networking Groupにとっても、是非採り入れるべき文化だと感じました。
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